船舶免許を持っていない方や、初心者で船の操船を実践であまりやったことのない方は、風速、波高でどれくらい海が荒れているとか想像があまりつかないですよね?
✓この記事では…
実際に何度も海に出て危険な場面を経験してきた僕が、荒天時(こうてんじ)の操船や船舶免許にもでてくる内容を書いていこうと思います。
荒天時とは
荒天時とは漢字のとおり、荒れた天候のことを言います。厳密にこういった状況という定義は無いのですが、海でいうなれば、風が強く、波が荒れていたり、横風の激しい雨などを指すでしょう。
船舶での荒天時のことを簡単に言えば、船の操船が簡単ではない状況のこと。
波の要素
天気予報などでよく聞く波を表すの意味は次のとおり
①波高→波の山と谷の高低差 ※上のグラフのとおり
②波長→波の山(谷)から次の山(谷)までの水平距離
③波向→波の来る方向で、風向と同じで16の方位で表します
風向や風力階級についての記事も書いていますので是非確認してみてください。
荒天時の操船
波浪に対して直角に進む
波を真正面から受ける場合は、他の方向から波を受けるのに比べて転覆などの可能性が最も低くなります。
しかし、波に船首が突っ込んだり、船首と船尾が上下する縦揺れ(ピッチング)や船首の左右に揺れる(ヨーイング)の発生、さらに波が高いと持ち上げられた船首が水面に叩きつけられる衝撃が大きくなるなど、波の状態に応じて速度の調整や、船首の角度を絶え間ない操船を心掛けないといけません。
波浪に対して斜めに進む
波を斜め前方(波の進行方向に対して30度程度)から受けるように操船すると、縦揺れ(ピッチング)などの動きが発生しにくく衝撃も和らげることができます。
ここで気を付けなければならないことは、船首が波の下側へ向いてしまうと、波と平行になってしまって一番危険な状態になるので、角度を保つように操船することが大事です。
速度が速いと波の衝撃がおおきくなり、船首が下に向きやすくなるので、舵がよく効く範囲内で減速するようにします。
横波の危険性
横波の注意点
船にとって最も危険な波が横波です。
横から大きな波を受けてしまうと、一瞬で転覆してしまう危険性があります。また大きな波じゃなくても、波の周期と船体の横揺れ(ローリング)の周期が重なってしまうと、横揺れが大きくなり危険な状態になる場合もあります。
波が大きい海域で針路などを変える場合は横から波を受けないように、よく観察しながら素早く針路変更しましょう。
追い波に対する注意点
追い波で特に危険なのがブローチングです。
ブローチングとは波の斜面を下っているときに左右の揺れ(ヨーイング)が大きくなり、舵が効かなくなって船が横滑りして、波に対して横倒しの状態になります。
まともに横波を受けるため転覆の可能性が非常に高くなります。
追い波のときは操作方法が変わるので、モーターボートのように速力の早い船に関しては、波の斜面を上るときは増速して、次の波へ突っ込まないようにし、波を超える直前に減速して船が跳ねないように絶えず速力調整をして水面をなぞるように操船します。
荒天時の避難について
天候が悪くなりそうだなと感じてきたら、避難することが大切です。
避難する港への航行で注意することを説明します。
①:船で海に出るときは、必ず避難する場所を選定しておくこと。
②:乗員のライフジャケットの着用を確認し、転落しないよう姿勢を低くして何かに捕まるよう指示すること。
③:救命浮環などをいつでも使えるように準備しておくこと。
④:浸水しないようにハッチや窓を確実に閉めること。
⑤:スカッパーが詰まっていると上手く排水ができないので、詰まりがないことと、ビルジポンプの作動を確認する。
⑥:帰港か避難港へ行くか判断する。近くに避難港やマリーナがない場合は島陰や岬の陰など波風の影響が少ない場所でアンカーリングできる所を探します。
⑦:関係者先へ、現状と避難行動予定を連絡すること。
⑧:波風が激しくなり、航行不能に陥った場合はシーアンカー(パラシュートアンカー)を使用します。船首から投入することによって、船首を風上に立てて横波を受けないようにするとともに、漂流速度を抑えることができる。
※シーアンカーは釣りだけではなく、こういったアクシデントの場合でも使用するので、少し金額は高いですが、ちゃんとした物を購入しましょう。
シーアンカーは自分の船にあったサイズを選びましょう↓
まとめ
今回の荒天時についての内容をまとめます。
✓荒天時とは荒れた天候のこと、厳密な定義はない
✓波に対して直角に進んだり、30度の角度で操船したり絶えず調整する
✓横波が船にとって一番危険
✓追い波で危険なのがブローチング
✓必ず避難場所を決めておく
✓航行不能になったらシーアンカーで漂流速度を抑える
以上になります!
赤線を引いている部分は重要なとこです。
基本的には、波高が2メートルとかになる日は出港しない方がいいですが、急な天候の変化で海が荒れたりした場合はこの記事で学んだことを実践してください。
特にシーアンカーは良い物を乗せておきましょう!
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